2022/03/09
第四部「太っていても幸せ」
行く先はメタボか?ハッピーなデブか?
脂肪細胞は一定以上の大きさになると正常な働きが出来なくなってしまいます。
例えば、満腹ホルモン「レプチン」の分泌であったり、抗炎症作用や抗動脈硬化作用のあるアディポネクチンの分泌、女性ホルモンの前駆体をエストロゲンという女性ホルモンに変換したりする役割を持っています。しかし脂肪細胞に脂肪が詰め込まれ肥大化してしまうと上記のような正常な働きをしない代わりにアンジオテンシンⅡという血圧をあげ高血圧症を引き起こすものや免疫系統の炎症をや動脈硬化の原因となるTNF-aやMCP-1の分泌増加、血栓を作る原因になるPAI-1などの生理活性物質を分泌も増加するようになり健康を害していきます。(特に内臓脂肪で。)
しかし、太っている人、全員が内臓脂肪が多く、メタボかというとそういったわけではありません。内臓脂肪は運動によって消費されやすいという特徴があります。運動時に骨格筋から出る生理活性物質は肥大化脂肪細胞の出す生理活性物質とは真逆の働きがあり、抗炎症作用もあるのでよく運動する人は内臓脂肪が少なく健康的という事がわかっています。
あるアメリカの研究グループは、成人男性1万4345名を対象に約6年間のBMI値と体力の変化を計測し、その後の死亡率を追跡調査しました。すると、6年間の体重の変化に関係なく、体力レベルが低下したグループで圧倒的に死亡率が高い結果に。つまり、いくら身体が痩せていたとしても運動をせずに体力が低くなっていくと、太っていて体力レベルが低くなった人と同じくらい死亡リスクが高まるというわけです。
運動を習慣的に行っている人は内臓脂肪が少ない。内臓脂肪が少ないと悪い生理活性物質が出ないから死亡率も低い。
太っていること自体はそんなに問題ではない。よく運動をして内臓脂肪が少なければ、ハッピーなデブになれるという事。
太っている=悪、じゃない!!
世界で一番、体型を気にする国、日本
エクスペディアが世界7カ国(イギリス、フランス、ドイツ、 イタリア、スペイン、韓国、日本)を対象に「ビーチ休暇を取る際に、体型が気がかりである人の割合」のアンケートを行なったところ以下のような結果になりました。
1位 日本……61%
2位 韓国……59%
3位 イタリア……47%
4位 スペイン……46%
5位 イギリス……43%
6位 ドイツ……38%
7位 フランス……31%
文化の違いもあるとは思いますが、日本では6割以上の人が体型を気にしているという結果が出ています。
さらに同調査では女性限定によるビキニ着用率を調査してみると、次の通りとなりました。
1位 スペイン……53%
2位 イタリア……52%
3位 ドイツ……40%
4位 イギリス……26%
5位 フランス……23%
6位 韓国……20%
7位 日本……15%
やはりビキニの着用率でも日本が15%と最下位!
体重が減ったのにハッピーになれない!
運動やジムに通っている人はそれぞれの理由があると思います。理想の体型になりたいから、健康になりたいから、健康診断で医者に指摘された、パートナーの為あるいは、最高の気分で結婚式のドレスを着たいからかもしれない。でも、痩せる事とあなたの幸福をイコールで結びつけているのなら幸せどころか不幸になるかもしれません。痩せたからといって、あなたが必ずしも幸せになれるとは限りません。
その内容をアメリカ版ウィメンズヘルスからご紹介します。プラスサイズの服を専門に扱うイギリスの小売業者「Littlewoods.com」が実施した調査結果によると
現在の服のサイズと幸福度、体型に対する自信について2000人の女性に質問した結果、ここ数年で体重が揺れ動いている女性の49%が、サイズ16(日本ではサイズ15)で最も幸福だったことがわかった。一方で、サイズ6(日本ではサイズ5)の女性の52%が曲線のあるカービーな体型を好み、サイズ6〜10(日本では5〜9)の女性は、サイズ10以上の女性よりも、自分の体型に対して最も批判的であることが明らかになったそう。
要するに、痩せてスキニーデニムが履けるようになったら、一時的に幸せを味わえるかもしれないけど、体重を減らすことで確実に幸せに溢れた人生を手に入れられるわけではない。
「私たちを幸せにするのは、見た目を変える目標を達成することではありません」と話すのは、臨床心理学者のアンドレア・ボニアー博士。「痩せれば、自然と人生が有意義な形で変わるものだと考えているかもしれませんが、痩せたとしても、あなたの人生はあなたの人生のままです」。
なぜなら、幸せは、体重が左右するものでも、すべきものでもないから。確かに痩せる事で恋人との関係がうまくいったり、結婚出来たり。自分に自信がついたり。プラスになることはたくさんあると思います。しかし体型や体重だけを追い求めていくと、いつもそこに縛られ、食べることが楽しくなくなったり、体調をくずしたり。弊害も必ず出てきます。自分は何をやっているときが幸せなのかが大事だと思います。
ボニアー博士も「幸福を最終的な結果として求めるのではなく、幸せを感じることを目標の一部にするべきだ。」と話しています。
ヘルシーなレシピを見つけて料理を楽しんだり、本当に好きになれるワークアウトが見つかるまでいろんな種類のワークアウトを試してみたり、最高の気分になれるジムウエアを調達してみたり。「もちろん、栄養や健康に関する目標を立てるのはいいことです。」しかし、特定の体重やサイズになることを目標にするのはやめましょう。