2022/02/09
第二部「リバウンドしたくないなら交感神経を刺激しよう!!」
自律神経と肥満
第二部の今回は自律神経と肥満について
1991年アメリカで提唱された「Most Obesity kNown Are Low In Sympathetic Activity」という仮説
肥満者の多くは交感神経の活動が低いという内容でその頭文字をとってモナリザ症候群やモナリザ仮説と呼ばれています。
交感神経とは自律神経の一つで、心拍数や血圧をあげたり、筋肉への血流量を増やしたり瞳孔を開いたりする働きがあります。
これとは逆に、心拍数や血圧を下げ、胃や腸への血流量を増やし消化を促したり、リラックスした状態にもっていくのがもう一つの自律神経で副交感神経です。
交感神経は脂肪分解にも関係しています。食事をすると脳の満腹中枢が刺激されます。満腹中枢は交感神経の支配下にあるので胃の伸長によって満腹感を感じると自律神経が活性化。アドレナリンというホルモンが分泌され、脂肪細胞に働きかけて脂肪の分解や燃焼が促されます。
食事制限だけでは脂肪分解能力は上がらない
しかし、こうした機能が働きにくいのが交感神経の活動性が低い人達です。
更年期外来の患者さん達のデータから、平均値より自律神経の活動性が低い人は、体脂肪率もBMIも総コレステロールの数値も高いことがわかりました。
また、アメリカの生理学会の機関誌に掲載された、1年間に50kg減量した超肥満者を対象にした運動効果に関する論文によると、長年肥満状態にある人は、体重を落としても筋肉の脂肪分解能力が普通の人の半分に満たないことがわかりました。
どういうことかというと食事制限だけで痩せても、身体はまだ太りやすい状態のままという事。
太っている人は膵臓からインスリンを分泌して脂肪を合成することはしても、脂肪を分解するシステムをほとんど動かすことがありません。
交感神経を経由したアドレナリンの分泌が見られません。
まして、ダイエット中は、エネルギーがマイナスの状態になり交感神経が働きにくい。
その結果、50kg体重を落としたとしても脂肪を燃やす能力は低いままです。ところが10日間運動をさせたところ、筋肉の脂肪分解能力が上がりました。
これは、筋肉内で脂肪を分解する酵素の活性が上がったという事。
運動によって交感神経が刺激され、アドレナリンが分泌されて脂肪分解酵素が働く。体の中で起こる変化で一番早いものが酵素活性。
お酒を飲む機会を増やすと、アルコール分解酵素が増えるのと同じ理屈です。
このことから言えるのは、まず運動習慣をつけ、脂肪を燃やす能力を高めたうえでダイエットをスタートさせた方が効率的という事。
食事制限だけで体重を落としたとしても、自律神経の活動性は低いままで脂肪分解能力も低いまま。リバウンドのリスクは高くなります。
運動がいかに重要か!そしてキックボクシングなど格闘技は交感神経を刺激しやすくアドレナリンが出やすい。
リバウンドを防ぐにはもってこいという事です。